Huawei Mate8の高速充電検証

Huawei Mate8と付属の充電器を組み合わせると充電器の電圧出力は5Vから9VになりMate8を高速に充電することができます。類似の規格としてメジャーなQualcommのQuickCharge2.0(QC2.0)対応機器も織り交ぜながら検証してみました。

Mate8の充電にはHuawei Quick Chargeという高速充電技術が採用されていますが、Mate8のSoCはHuawei子会社のHiSilicon製Kirin950であり、QualcommやMediatek製ではないことから独自の高速充電規格となっている可能性があります。この高速充電規格については特に仕様が公表されていないので実機での動作を見ながら検証してみました。

まずは付属のACアダプタから

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HUAWEI QUICK CHARGEというラベルが貼られています。

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型番HW-059200CHQの充電器の定格には5V 2Aに加え9V 2Aと書かれており、充電器から出力される電圧を上げることで充電を高速化することが伺い知れます。

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実際にMate8を接続して電圧計でモニターしたところ電圧表示値が5V→9Vと変わり高速充電されることが確認できました。

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ちなみに、Mate8付属充電器に高速充電非対応のMate7を接続すると電圧表示は5Vのままです。よって、Mate8の充電器は高速充電対応のMate8の接続を検知し、USB2.0規格の5Vではなくて9Vに切り替えて出力していることが判ります。

次にこの充電器がどのようにしてMate8を検出しているかUSBのデータラインの電圧を測定することで検証します。

テスターのプローブが当てられるお手製USBケーブルで接続してUSBデータラインの電圧をテスターで測定します。測定するとD+ 0.6V / D- 0VというUSBの通常のデータライン3.3Vとは異なる電圧が出ており、値も安定していることからDC出力で特に通信などしていないと思われます。

Mate8付属充電器はこのデータライン電圧を検出することで高速充電対応のMate8が接続されたことを検知してUSB2.0規格の5Vではない9Vを出力する動作をしていると推測されます。

このデータラインの電圧を検出することで充電器からの出力電圧を上げる技術として有名なものでQualcommのQuick Charge 2.0(QC2.0)があります。(後継のQC3.0も規格化されています)

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QC2.0対応の充電器用インターフェイスIC CHY100のデータシートより

Mate8の高速充電規格はQC2.0規格(9V出力時 D+3.3V D-0.6V)とは異なる電圧になっております。また、Mate8の9V出力指示時の電圧(D+0.6V D-0V)はQC2.0規格では5V(default)に相当することから、Mate8をQC2.0対応充電器に接続した際には通常の5Vが出力されることも想定できます。

実際にQC2.0対応充電器にMate8を接続すると5V出力、QC2.0対応スマホ(SCL24)を接続すると9V出力となりました。(SCL24接続時のD+/D-ラインの電圧は実際に3.3V/0.6Vでした)

 

おまけ

それでは、Mate8付属充電器(QC2.0対応とは謳ってはいない)にQC2.0対応スマホを接続するとどうなるのか?

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あれ?9Vになっているではありませんか?この際のD+/D-ラインの電圧は実際に3.3V/0.6VでQC2.0規格で9V出力指示の電圧ではありますが、Mate8付属充電器は9V出力になっています。Mate8付属の充電器はQC2.0対応でもあるようです。ファーウェイはQualcomm SoC搭載スマホも発売しているので両対応できるように充電器を設計しているのでしょうか。

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